実が落ちる前に

自作小説を公開するブログです。暇なとき、読んでいただけたらうれしいです。小説は作品ごとにカテゴリー分けしています。日記や雑文はその他カテゴリーです。

保険金(災害死亡保険金)が支払われない!?重過失とは?

傷害保険や生命保険では、被保険者が怪我をしたり死亡したときに保険金(普通死亡保険金、災害死亡保険金)が支払われる。ただ、保険金の支払い事由が、保険契約者、または被保険者の犯罪や故意、重過失のときには、保険金全額、もしくは保険金の一部(災害死亡保険金)が支払われないこともある。

保険金が支払われないケース(戦争、災害、告知義務違反を除くと)

①犯罪

保険契約者、または保険金の受取人が被保険者を死亡させた場合。被保険者が死刑で死亡した場合。

②故意

自殺(保険金目的)など。

③重過失(災害死亡保険金)

被保険者に著しい不注意があった場合。

 

①②は支払われる/支払われないがわかりやすいけど、③はわかりにくい。「重」とか「著しい」というのは、一体どの程度?ということ、重過失のポイントと事例を調べてみました。

重過失のポイントと事例

・泥酔状態で運転し死亡事故→重過失(災害死亡保険金なし)

・運転免許をもたずに死亡事故→重過失

・居眠り運転→重過失とはいえない

・被保険者が「危険であること」を認識できる状態で高速道路を逆走→重過失

(災害死亡保険金は支払われない。普通死亡保険金は支払われる)

(危険を認識できない状態のときは重過失とはいえない?)

・泥酔して道路上で寝ていたところを車にはねられ死亡→重過失(災害死亡保険金支払われない)

・泥酔した状態で道路を横断中、車にはねられ死亡→重過失とはいえない

・被保険者が夜間、無灯火のまま海に向かって運転。運転操作を誤り、車両ごと岸壁から海に転落、死亡→重過失※1

・地上4階の自宅ベランダに屋上から降りようとして転落、死亡→重過失(災害死亡保険金なし)

・寝ぼけて、トイレの戸と間違えて寝室の窓から転落、死亡→重過失ではない※2

※1保険会社は被保険者が保険金を目的に自殺した可能性が高く不慮の事故にはあたらないと訴えたが、裁判ではこの訴えは認められず、重過失ありの不慮の事故という判決。遺族が求めた災害死亡保険金の支払請求は棄却された。

※2こちらも、死亡保険金に上乗せする保険金の支払いで裁判。全額支払の判決。

 

災害死亡保険金とは「不慮の事故または法定・指定伝染病による死亡及び所定の高度障害のときに、(普通)死亡保険金額に上乗せして支払われる保険金」のことです。このときは「不慮の事故かどうか」もポイントになるわけですね。たとえば、

・階段で足をすべらせて転落、死亡→不慮の事故(死亡保険金+災害死亡保険金)

脳梗塞の後遺症で食べ物を飲みこむことが困難な人が、食べ物をのどにつまらせ死亡→不慮の事故ではない(死亡保険金のみ)

ちなみに、災害死亡保険金には傷害特約と災害割増特約があり、両特約を合わせて、普通死亡保険金と同額まで契約することができる。

例)普通死亡保険金2000万円のときは災害死亡保険金(傷害特約と災害割増特約)2000万円まで。満額支払われるときは4000万円、受け取ることができる。

 

個人的に興味深いのは、最後の事例です。「寝ぼけて」というのが、アルコールや睡眠薬睡眠導入剤)が原因のときには重過失になるのかな?泥酔でなければ、重過失とまではいえないかもしれません。

また、ベランダの高さ(落ちたら死ぬことが明らかで危険をあらかじめ認識できる場合)によっては、酔うなどの過失がなくても重過失になるようです。

重過失かどうかを争う裁判では、保険会社は被保険者の自殺を疑っていることが多いようです。このときには、被保険者に自殺する理由があるかどうかも判決のポイントになりそうです。

 

転落事故では次の事例もありました。

・被保険者がマンション11階のベランダから転落、死亡。不慮の事故かどうか(災害死亡保険金)を争った裁判。この事例では、警察も不慮の事故として処理、他の保険会社は死亡保険金に加えて災害死亡保険金も支払っていた。争点は、「身長170cmの被保険者が120cmの手すりを超えて転落したのが偶発的な事故、不慮の事故なのかどうか(自分の意志で乗り越えたか、もしくは何らかの原因で転落したのであり不慮の事故でないのではないか)」→重大な過失

保険会社の再現実験では、下を覗く・手すりに寄りかかるなどをしても、身体が手すりを乗り越えることはないため、被保険者が安定性を欠く危険な体勢をとったことが事故の原因。

 

自殺か重過失か、見極めるの難しいですね。遺書なんかがあったら、自殺は明らかだけど。自殺だと、災害死亡保険金だけでなく死亡保険金も支払われないことがあるので、自殺と判断されるか、重過失と判断されるかは、保険金の受取人にとっては重要ですね。