実が落ちる前に

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川瀬七緒「よろずのことに気をつけよ」の感想(ネタバレあり)第57回江戸川乱歩賞受賞作

 


よろずのことに気をつけよ (講談社文庫)
 

 都内に住む老人が自宅で惨殺された。奇妙なことに、遺体は舌を切断され、心臓をズタズタに抉られていた。さらに、縁の下からは「不離怨願、あたご様、五郎子」と記された呪術符が見つかる。なぜ老人はかくも強い怨念を受けたのか?日本の因習に絡む、恐るべき真相が眼前に広がる!〈第57回江戸川乱歩賞受賞作〉

(文庫本裏)

 

感想(ネタバレあり)

呪ったけど、呪いの効き目がなかったから殺したという話でした。

呪術符の謎解きはおもしろかったですが、それがうまく殺人事件の謎解きにつながっていない気がしました。犯人の居場所を特定したのも、呪術符から得たヒントじゃなくて、おじいちゃんの写真だったし。特徴的な凶器だとか念仏だとか、材料は色々あるのに、それも殺人事件の謎解きにつながっていない。村まで行ってようやく、「あっ、これが凶器か」ってなる。

犯人の動機はなあ……まあ、悲しいのは分かるし、そりゃあ恨むよね、とは思うけど、この話にはあまり似合わない動機、もっとおどろおどろしいのを想像していました。だって、うん十年の呪いだよ。このじいちゃん、どんな悪事を働いたの?村一つ滅ぼしたのか!?くらいのことを想像していたのに、ふたを開けてみたら交通事故。拍子抜けでした。

老婆がライフルをぶっぱなしたところが私の一番のツボでした。一番いらなかったのは、主人公のとってつけたような虐待少年エピソードでした。