実が落ちる前に

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乃南アサ「鍵」の感想(ネタバレあり)


新装版 鍵 (講談社文庫)
 

高校二年生の麻里子のカバンに、知らぬ間に一つの鍵が押し込められた——。近所で連続して起きる通り魔事件は、ついに殺人にまでエスカレート。父も母もいなくなった障害を持つ女子高生と、その面倒を見なければいけなくなった兄や姉との心の通い合いをも見事に描いた、新直木賞作家の泣ける名作ミステリー。

講談社文庫文庫本裏)

 

感想(ネタバレあり)

うちだったら、両親が死んだとたん、財産をめぐって兄弟で骨肉の争いになっている*1近所の通り魔事件どころじゃないや(笑)

 

通り魔の目的が誰のカバンに入れたのかわからない探し物というのはおもしろかった。でも教材会社の社員が麻里子の制服を覚えていなかった(どこ高校の生徒かを覚えていなかった)というのは、慌てていたとはいえちょっとうかつかな。顔は覚えていなくてもそこは覚えておけばよかったのに。

ミステリーとしては普通。真相がわかるのも、推理じゃなくて、たまたまだし。だって、たまたま訪ねていった姉の職場に犯人がいました、なんてねえ。それまで、麻里子も、俊太郎サイドも色々動いていたけど、真相には全くたどりついていなかったのに。いきなりの急展開に、読みながらびっくりしましたよ。えっ、ここで犯人がわかっちゃうの?そんなことで!?ってね。鍵の秘密もそれほどおもしろくなかった。

犯人の二人の監禁劇には笑っちゃいました。だって、犯人の方が救出劇までの時間稼ぎをしてくれるんだもの。「お兄ちゃん、間に合うの!?」というドキドキのシーンだったはずだけど、お兄ちゃんが迎えに来るまでおしゃべりで時間をつぶしてくれた犯人さんのやさしさの方が光っていました。やっぱり腐っても教師!子供には優しいです。

家族の話としても普通かな。ニート?フリーターで親の残した財産で暮らしているくせに「妹が重い」だの「妹の面倒をみなくちゃいけない」だの悩んでいる俊太郎は意味不明。泣きたいのはお姉ちゃんだよね。ニートの弟と耳が聞こえない妹を抱えてさ。

お姉ちゃん、甘やかしちゃだめだからね。アパートもきちんと三等分、自分の取り分はちゃんととりなよ、というのが読み終わったときの感想でした。私、「泣ける名作ミステリー」を読んで、最初から最後まで財産や相続のことしか考えていないじゃん(゚д゚)!もう少し心の豊かな人間になりたいです(._.)

 

 

 

 

 

*1:´∀`