実が落ちる前に

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有栖川有栖「46番目の密室」の感想とネタバレ

 


新装版 46番目の密室 (講談社文庫)
 

 45の密室トリックを発表した推理小説の大家、真壁聖一が殺された。密室と化した地下の書庫の暖炉に上半身を突っ込むという悲惨な姿であった。彼は自分の考えた46番目の密室トリックで殺されたのか? 推理作家・有栖川有栖とその友人で犯罪学者・火村英生のコンビが怪事件の謎に迫る! 新本格推理小説

講談社文庫文庫本裏)

 

感想とトリックのメモ(ネタバレあり)

この「46番目の密室」が火村英生シリーズの1作目だったのですね。これまでこの作品を含め、国名シリーズやそれ以外の火村英生シリーズを何冊か読んできたのですが、順番を気にして読んだことがなかったので、この作品が1作目だと知りませんでした。

 

トリック自体には目新しさはなし。

目新しさや奇抜さがなくて手堅い印象です。この作品も含め、有栖川有栖さんの推理小説はどれも読んでいて安心感がありますね。私が本棚から有栖川有栖さんの小説を取るときは、大体、内田康夫さんの浅見光彦シリーズと迷います。新鮮なトリックや奇抜な話を求めているんじゃなくて、読みなれた推理小説・慣れ親しんだトリックを楽しみたいときに、有栖川有栖さんを読みたくなるのです。

 

トリックのメモ

地下室の密室は犯人にとって想定外、被害者自身がカギをかけた

煙突から凶器を落とす

暗号で被害者を暖炉におびきよせる

凶器には糸をつけて、引き上げる

犯人は自分の部屋の前に石灰をまき、出入りしていないアリバイ工作(部屋から出たら足跡がつく)、屋根には部屋の窓から出入り(逆にいえば、煙突が使われたことがばれたら、犯人以外に犯人がいなくなる)

煙突から凶器を落としたことがばれないように、被害者に灯油をかけて火をつける(燃やすために死体を暖炉に運んだと見せかける)

足跡は読者へのヒント。有栖川→石町(石町の足跡)→犯人(2Fにあがる)ではなく、犯人(石町)→有栖川の順番。足跡の一部を消したのは有栖川、有栖川の前に石町が1Fに下りていたということ。スリッパに石灰がついていなかったのは、書斎の窓を割るために、有栖川が外に出たから。雪で石灰がおちた。

つまり、密室トリックではなくアリバイトリック(自分は地下室に行くことができなかった)だったんだ。

ただ、犯人がなぜ他殺としか見えないやり方で殺さなければいけなかったのか、なぜこの日この場で(閉ざされた館、限られた容疑者)殺さなければならなかったのかは不明。石灰をまくよりも、被害者の寝室で自殺に見せかけて殺すか、被害者が外出したときに交通事故にでもお見せかけて殺した方がよいのに。誰かに無実の罪を着せたかったわけでもなさそうだし。