実が落ちる前に

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松本清張「わるいやつら」の感想(ネタバレあり)

 
わるいやつら〈上〉 (新潮文庫)

 
わるいやつら 下 (新潮文庫 ま 1-9)

 〝どのように美しくても、経済力のない女は虫のように無価値だ〟医学界の重鎮だった亡父の後を継ぎ病院長となった32歳の戸谷信一は、熱心に患者を診察することもなく、経営に専心するでもない。病院の経営は苦しく、赤字は増えるばかりだが、彼は苦にしない。穴埋めの金は、女から絞り取ればいい……。色と欲のため、厚い病院の壁の中で計画される恐るべき完全犯罪。

(上巻・新潮文庫文庫本裏)

愛人関係にある横武たつ子の病夫を殺したあげく、邪魔になった彼女をも殺害し、その上、共犯者の婦長寺島トヨを手に掛けた戸谷信一は、さらに、自分の欲望を満たすため、次の犯行を決意する。社会的地位をもちながら、その裏で、次々に女をだまし、関係しては金を取りあげ、殺してゆく戸谷。やげて、彼に訪れる意外な破局は……。冷酷非情な現代人の欲望を描く推理長編。

(下巻・新潮文庫文庫本裏)

 

感想(ネタバレあり)

「わるいやつ」というには、主人公が小物すぎて……(-_-;)主人公、なんだかんだいって、作中では女たちから一銭も金を奪えていないです。「わるいやつ」というよりも、世間知らずの坊ちゃんが、女たちにいいように利用された挙句、警察につかまるという話ですね。それにしても戸谷さん、32歳だったんだ。読み終わった後、文庫本の裏を見て、初めて知りました(笑)

最初から最後まで主人公の視点で語られるので、弁護士さんがどこからどこまで画策したのかがよく分かりませんでした。私の読解力が足りないからかもしれませんが。

高利貸しからの借金と詐欺は一から十まで弁護士さんの悪事ですよね。骨董屋さんの窃盗事件も弁護士さんの画策?藤島チセはいつから弁護士さん側に走ったの?弁護士さんと槙村さんは最初から手を組んでいたの?

あと、寺島トヨではない女性の他殺体は、主人公とも弁護士さんとも関係がなく、偶然見つかったものということでいいのかしら。牛を埋めたのは、寺島トヨと弁護士さんなんだろうけど。

 

現実では、横武たつ子やチセの夫の殺害は立証できなさそうですね。トヨやチセの証言しか証拠がないし、トヨやチセが「戸谷憎し」よりも「自分の無実」の方を取ったら、証言を撤回するでしょうし。トヨやチセが「殺していない」といえば、事件自体が無くなってしまいますものね。

横武たつ子の夫の件も、主人公が毒を盛ったということを警察が証明するのは難しそうです。

ということは、主人公が罪に問われる可能性が高いのは、トヨの殺害未遂と窃盗事件だけ……?あら、案外、刑期は短そう(´▽`*)