実が落ちる前に

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柄刀一「3000年の密室」の感想とトリックのメモ(ネタバレあり)【デビュー作】

 


3000年の密室 (光文社文庫)
 

 3000年前の殺人事件!? 密室状態の洞窟で発見された縄文人男性のミイラは、背中に石斧を突きたてられ、右腕を切断されていた。——サイモンと命名された彼は、学会に新たな発見と論争をもたらすが……。今度はサイモンの発見者が行方をくらます事件が起きる!

作家的想像力を無限に広げ、壮大な物語を紡いだ著者のデビュー作。本格推理の一到達点!

(光文社文庫文庫本裏)

 

 

感想(ネタバレあり)

柄刀一さんのデビュー作にして、第8回鮎川哲也賞の最終候補作でもあります。

縄文時代の蘊蓄がこれでもかと出てきます。そういうのが好きな人には、本書は面白いと思います。私も蘊蓄好きなので、面白かったです。

ただ、それ以外の部分は……現在の殺人事件はトリックの面でも動機の面でもあまり興味のわかないクオリティ、そもそも被害者が魅力に乏しい人物なので、「いいじゃん、いなくなっても。それよりもミイラのお話をしようよ。そっちの方が楽しいよ」と思ってしまいました(笑)

ミイラの密室の謎もちょっと期待外れだったかなあ。個人的には、「なぜ縄文人が密室殺人を!?その動機とは??」を期待していたので。

 

ロマン溢れるミイラの謎と現在の殺人事件のスケールの差、また、前半部分は縄文時代の蘊蓄ばかりで後半になってやっと殺人事件の話になるという構成など、「バランスが悪いなあ」と思う点の多い作品でした。でも、その欠点を補うくらいミイラの謎は魅力的でした。

 

 

トリックのメモ

 

断層がずれて密室(元々は貫通した洞窟で両側に出入り口があった

 ・明かりの痕跡が発掘入口手前だけ

 ・発掘入口から見て洞窟のに雪

 ・発掘入口の塞ぎ方→もう一つ入口があったから内側から塞ぐことができた

 

・現在の事件は落とし穴トリック、被害者を罠に誘導